オステオパシーの考え方について

オステオパシーの大きな特徴は、身体全体を1つの繋がったシステムとして捉えることです。人間の身体は筋骨格系、神経系、呼吸器系や血管系、免疫系等様々な器官が集まってできており、それらは互いに繋がり合い全体として一つのシステムを構成しています。身体のそれぞれの器官は単独で働いていると考えるのではなく、各器官がお互いに協調し合い全体として調和をはかりながら働いていると考えています。
 
全身の皮膚が途切れることなく繋がっているように、解剖学的にみると人間の体の中には1つの繋がった膜が何重にも重なり合って張りめぐらされており、その中を神経や筋肉、骨、臓器、血管などのあらゆる器官が収められています。全ての器官は膜に包まれて保護され、繋がり、支えられているのです。

たとえば立っているときに重力によってそれらの器官がドサッと落ちないのは、内臓やその他の各器官を包む膜が骨格系に繋がり、支持されているためです。また、これらの膜どうしがスムーズに滑り合うことで私たちは身体を動かすことが出来ます。

このように身体の内部の全ての器官は膜により繋がっていて、お互いに協調しながら機能していることから考えると、たとえば内臓やその他の器官にある問題が筋骨格系の痛みの原因となることもあり、また逆に筋骨格系の問題が内臓やその他の器官の不調の原因となることもある、ということが解ります。身体のある1つの領域に歪みや障害が生じると、遠く離れた場所にまで影響を及ぼすのです。

根本原因を見つけ施術する

物事には必ず原因と結果が存在しています。特に人体においてはこの原因と結果が単純に繋がっていることよりも、いくつもの原因と結果が複雑に絡み合って痛みや様々な症状が引き起こされている事がほとんどであると言えます。その原因も人により様々で例え同じ痛みや症状であってもその原因は千差万別です。

この特定の原因を突き止め、適切な施術を行うことでより早期に改善することができ、また問題が繰り返し引き起こされることを防ぐことができます。施術において短期・中期・長期の大まかな道筋は立てますが、身体の状態は変化するため毎回先入観を捨て新たな気持ちで、その時に身体が必要としている最善の治療を選択し提供させていただきます。

骨盤を中心とした筋骨格系へのアプローチ

人間の身体の枠組み、土台の役割も果たす筋骨格系は背骨や骨盤のみから成り立つわけではありません。背骨を支える土台である骨盤やそれを支える下肢の役割、臓器を保護し呼吸に際しても必要不可欠な肋骨など人体において不必要なものは何一つありません。オステオパシーでは頭蓋骨から手足の指一本一本まで正常と異常、活動と停滞、調和と不調和をくまなく調べ、調整していきます。
例えば骨盤だけを調整しても骨盤の捻じれの原因が隣接する臓器や足首などにある場合はすぐに元の状態に戻ってしまう、もしくは同じ状況を繰り返してしまうことになってしまいます。
※当院の治療は骨盤を指標に治療は組み立てますが、骨盤矯正だけで体調が良くなる事はありません

内臓へのアプローチ

臓器は腹膜という膜(結合組織)により包まれています。それによって他の臓器と繋がり液体や情報の交換を行い、また筋骨格系と繋がり、保護を受けています。臓器の実質へ直接アプローチするというよりは主にこの膜組織(結合組織)に働きかけ、柔軟性や弾力性、また臓器の固有のリズムを取り戻し、さらに臓器と臓器、臓器と骨格系、循環系、神経系などとの連絡や調和がとれるようソフトな手技で調整を行います。

頭蓋骨へのアプローチ

伝統的なオステオパシーでは他の部位と同様に、頭蓋骨にのみ焦点を当てるという事は行っていません。必ず全身を診察し、頭蓋領域の治療が必要である場合に必要な治療を施します。成人で28個から成る骨、そして骨同士の繋がり、リズム、膜組織の弾力や柔軟性を取り戻すために調整を行います。そして、脳脊髄液や全身の排液を促したり、頭蓋と骨盤帯や骨格、臓器など様々な器官との調和をはかるため施術を行います。
またその内容物である脳や脳室に対するオステオパシーの技術も、30年程前から(特にここ数年)盛んに研究され、安全かつ臨床効果の高さから注目されています。

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