気圧と上咽頭炎の関係

2025年05月18日 10:48

「雨が降る前になると喉がイガイガする」「天気が崩れると頭がボーッとする」
こういった症状、実は“上咽頭”という見えない場所の炎症が関わっているかもしれません。

上咽頭は、普段あまり注目されない場所ですが、気圧の変化と密接に関係しています。
今回は、「なぜ気圧が上咽頭に影響を与えるのか?」をテーマに、東洋医学と自律神経の観点も交えて解説します。



上咽頭とは?

上咽頭(じょういんとう)とは、鼻と喉の間にある“鼻咽腔”と呼ばれる空間で、ちょうど後頭部の奥に位置する部位です。
外からは見えない場所ですが、ここは呼吸する空気が通り、ホコリ・ウイルス・花粉などが最初に接触する「免疫の最前線」とも言える場所です。

また、自律神経や脳に近い場所にあるため、ここが炎症を起こすと、全身に波及する不定愁訴を引き起こすこともあります。



気圧が下がると何が起きる?

台風や雨の日など、気圧が急に下がると、体には大きな変化が起きます。
なかでも耳・鼻・喉にかけては「圧のアンバランス」が起こりやすく、特に上咽頭周辺では以下のような反応が見られます。

1. 粘膜のうっ血と浮腫(むくみ)

気圧が下がると、体内の組織は“外圧が減った状態”になります。すると、毛細血管が拡張し、粘膜にうっ血(血が滞る)やむくみが生じやすくなります。

上咽頭はリンパや血流が集中する場所であるため、うっ血や浮腫が生じると「喉の違和感」「後鼻漏」「痰が絡む」「耳の閉塞感」といった症状が出やすくなります。

2. 自律神経の乱れ

上咽頭には、自律神経のバランスに関与する“迷走神経”や“交感神経節”に近い部位があります。
気圧が下がると交感神経が過剰に反応し、血管の収縮や炎症反応を起こすことがあります。

結果として、上咽頭の粘膜が敏感になり、慢性的な炎症(EAT=上咽頭炎)を引き起こすリスクが高まります。



上咽頭炎が引き起こす体調不良とは?

慢性的な上咽頭炎は、「のどの不調」にとどまらず、以下のような不定愁訴を招くことがあります。
• 原因不明の頭痛・めまい
• 倦怠感・だるさ・集中力の低下
• 後鼻漏(鼻水が喉に落ちる)
• 耳の圧迫感・耳鳴り
• 微熱が続く
• 気分の落ち込み・不安感

これらはすべて、自律神経系と関係しており、気圧の変動が“炎症スイッチ”を入れてしまうことがあるのです。



なぜ気圧に反応しやすい人がいるのか?

すべての人が気圧変化で体調を崩すわけではありません。特に以下のような方は、上咽頭の炎症や粘膜の反応が起きやすい傾向があります。
• 花粉症・アレルギー性鼻炎がある
• ストレスが強く自律神経が乱れやすい
• 睡眠不足・過労気味
• 過去に副鼻腔炎や喉のトラブルが多い
• 気圧の変化に敏感(いわゆる“気象病体質”)

こうした方は、天候が悪くなる前に上咽頭の炎症が再燃しやすく、症状がぶり返す傾向にあります。



対策方法

1. 鼻うがい・温熱ケア

上咽頭は外から触れない場所ですが、鼻うがいで間接的に洗浄することができます。生理食塩水を使って鼻から奥を流すことで、炎症物質や細菌を洗い流しやすくなります。

また、首の後ろや後頭部を温めると、リンパ循環が良くなり、むくみが取れやすくなります。

2. 耳のマッサージ・頭部のリリース

耳の裏や側頭部、顎の付け根を優しくマッサージすることで、耳管(じかん)や咽頭周囲の圧力バランスが整い、上咽頭への負担が軽減されます。

特に、整体やオステオパシーなどで後頭部・蝶形骨など頭蓋の微細な歪みを整えることで、上咽頭への循環も改善します。

3. 自律神経の調整

上咽頭炎は、実は“局所の炎症”というより、“全身のバランスの乱れ”のサインとも言えます。
深い呼吸、良質な睡眠、カフェインの摂り過ぎを控えること、などで自律神経が整えば、上咽頭の粘膜も落ち着きやすくなります。

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